【世界一周解説編3】世界一周航空券の種類ー上級編ー

世界一周航空券の発券方法やルールに関して説明してきました。ここまでの知識で、とりあえずチケット購入はできると思います。今回は、応用編です。

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世界一周旅行は分割して利用できる。

世界一周旅行の有効期限は出発してから最大1年です。1年間連続休暇はなかなかとれないので、もったいないような気もします。また、航空券によっては11日以上の連続休暇が必要になるものもあります。でも、安心してください。世界一周航空券を分割して使用することによって、実質11日でなくても世界一周旅行は可能ですし、1年の有効期限を有効利用できます。

一例を示します。

旅行1回目:アジア観光
旅行2回目:ヨーロッパ観光からアメリカへ
旅行3回目:北米観光

最初の休暇でまず日本から出発し、アジアの都市を周遊します。せっかくですからシンガポールやニューデリーなど、ちょっと遠いところがいいですね。世界一周航空券の周遊可能範囲内でアジアを満喫し、香港までもどってきます。そこで、香港で「ストップオーバー」している形をとり、香港発日本行き往復チケットを別に用意し、日本へ帰ります。そのまま休暇を終えて、日常のお仕事にもどります。

次の休暇で日本から香港に戻り、世界一周航空券の旅程に復帰します。ヨーロッパに飛び、ヨーロッパ各都市を観光し、アメリカ大陸のロサンゼルスに至ってから、再度「ストップオーバー」に入ります。ロサンゼルスから別切りチケットで日本に戻り、日常業務にもどります。

最後の休暇では、ロサンゼルスに戻り、北米各地を周遊、最終的に日本に戻ってきます。こうして世界一周旅行を3分割して楽しむことができます。それぞれの旅行が11日も必要ありませんので、連続休暇が少なくて済みます。

このように上手に分割して楽しむのがおすすめです。ただし欠点もあります。

①別切りの航空券が必要なので、お金が余計にかかる。
②日系航空会社の上級会員取得には向かない

①はそのままですから、解説不要ですね。②に関しては、次の項で解説します。

航空会社の上級会員を目指す

航空会社の上級会員をご存知でしょうか。飛行機を乗るにあたってさまざまな優遇措置が与えられている方々で、航空会社の上顧客です。優遇措置とは、搭乗前のラウンジ利用や保安検査場の優先、搭乗の優先、航空券予約の優先などがあります。基本的には飛行機にたくさん乗ってくれるお客さんを自社の顧客として取り込むためのサービスですから、たくさん飛行機に乗らないと上級会員にはなれません。

上級会員のサービスをもう少し詳しく解説してみます。

搭乗前のラウンジ利用

これが一番のメリットかもしれません。保安検査場を通過後のセキュリティエリア内にあるラウンジで、搭乗前のひとときをくつろぐことができます。ラウンジにはアルコール類や食事などが用意されており、搭乗直前までの時間をゆったり過ごせます。混雑する待合の椅子に座っているのと比較すると、雲泥の差です。

搭乗の優先

飛行機に乗る際、優先搭乗の呼びかけがなされているのを聞いたことがあると思います。「ゴールドメンバーからさきにご案内させていただきます」なんて放送されていますよね。搭乗順番をいらいら待つ必要もありませんし、先に機内に入ると荷物の収納場所を優先的に使えます。

保安検査場の優先

これは空港によってあるところとないところがあります。保安検査場が混雑して30分以上待ちになっていても、一瞬で通り抜けることのできる優先案内があったりします。時間が有効利用できますね。

航空券の優先販売

一般の客より先に航空券の予約が開始されることがあります。人気路線の人気シートなどでは重宝するでしょう。

他にも、搭乗による付与マイル数の優遇など、さまざまなメリットがあります。これらの優遇はビジネスクラス以上に搭乗するなら自動的に付与されるものもありますが、上級会員ならエコノミークラスに搭乗しても優遇されるのです。

上級会員は(航空会社にもよりますが)特定の1年間でどれだけ飛行機に乗ったかで認定されます。飛行機に乗ると各航空会社のマイレージプログラムのポイントを獲得することができ、このポイントが一定数に達すると上級会員になれます。そして会員の有効期限が1年程度なので、ずっと上級会員でいたいなら毎年飛行機に乗り続ける必要があります。このシステムは世界中の航空会社ほぼ共通です。

ところが、わずかに例外があります。

スカイチーム

まずはスカイチームのデルタ航空です。こちらはデルタ航空の発行するゴールドカード(デルタ スカイマイル アメリカンエクスプレス ゴールドカード)を契約すると、自動的にデルタ航空のゴールドメダリオンという上級会員になることができます。これは日本人だけに許された破格の特典で、現状では最も簡単になれる上級会員と言っていいでしょう。

2018年6月26日以降、特典の条件が変更です。ゴールドメダリオンの資格付与は最初の1年間のみになります。その後は年間150万円以上決済しないと、資格は付与されません。一方で、家族カードが無料化されますが、家族には特典付与されないためメリットは乏しいです。

デルタ航空の上級会員になれば、同じアライアンスであるスカイチームの航空会社(エールフランスや大韓航空など)でも優遇されます。そして、クレジットカードを維持する限り、いつまでも上級会員です。スカイチームのエコノミークラスで世界一周をするのなら、出発前に契約しておくのがおすすめです。

スターアライアンス

スターアライアンスの日系航空会社はANAです。ANAの上級会員は3段階に分かれていて、上からダイヤモンド、プラチナ、ブロンズです。プラチナ以上の上級会員になると、ANAの発行するクレジットカード(ANAの指定するANAカード)を所持すれば、カードを維持する限りプラチナのステータスで留まることができます。このような会員維持のサービスは日系航空会社だけです。

プラチナのステータスは、スターアライアンスのゴールドに相当します。スターアライアンスではゴールドが最高ランクになるので、スターアライアンスに所属する航空会社(ユナイテッド航空やルフトハンザ航空など)では、最高の待遇を受けることができます。

ワンワールド

ワンワールドの日系航空会社はJALです。JALの上級会員は4段階に分かれていて、ダイヤモンド、プレミア、サファイア、クリスタルです。JALの場合はサファイア以上の上級会員になると、JALの指定するクレジットカードを所有することでサファイアのステータスが維持できます。

JALのサファイアはワンワールド加盟航空会社(アメリカン航空やキャセイパシフィック航空など)でサファイアのステータスとして扱われます。サファイアはビジネスクラス客相当の待遇になります(ビジネスクラスラウンジに入れます)。ワンワールドではさらに上にエメラルドというステータスがあり、エメラルドではファーストクラス客相当の待遇になります(ファーストクラスラウンジに入れます)。JALのプレミア以上のランクならエメラルド扱いになります。なので、サファイアではワンワールド航空会社では2番目の待遇となります。

まとめますと、ずっと上級会員の資格を維持したいなら、スカイチームならクレジットカードをさっさと契約すればOKですが、JALやANAでは、サファイアあるいはプラチナになる必要があります。JALとANAはともに自社のマイレージプログラムで5万ポイントが必要になります(JALの場合は50便搭乗でもOKです)。

マイレージプログラム5万ポイントで上級会員の資格が維持できる。

どのような人が5万ポイントを獲得できるのでしょうか。あるいは5万ポイントはどれほど難しいのでしょうか。JALの例で考えましょう。最も多い羽田ー伊丹便で、頻用されているであろう特便普通席で計算すると、1便で820ポイントなので、純粋に計算すると61便になります。正確にいうと、JALの場合は50便に乗ってもOKなので、東京大阪間を1年に25往復する人(月2往復以上ですね)なら可能です。もともとビジネスマンや単身赴任などを想定していると思われます。

最近は修行僧(修行尼)という方々が増えてきています。上級会員になるために、目的もなく飛行機に乗り続ける方々ですね。東京沖縄間や沖縄シンガポール間を、観光するでもなく往復し続けるそうです。マイレージプログラムポイントの獲得量は搭乗距離に比例するので、どうせ乗るなら長距離路線に乗るほうががっぽり稼げます。東京沖縄間を特便で2往復すると7504ポイントです。1日2往復トータル7日で達成できます。このような「修行」を頑張る方々が修行僧です。

羽田ー伊丹便 特便 普通席 820ポイント
羽田ー那覇便 特便 普通席 1876ポイント

なぜ特便で、なぜ普通席かといいますと、コストパフォーマンスの問題です。普通運賃は高すぎますし、ファーストクラスも高いです。ここはケースバイケースで、ファーストクラスの方が効率がいいこともありますし、先得の方がコストパフォーマンスがいいこともあります。ちなみにANAでもほぼ同様です。

世界一周航空券を使うと、飛行機搭乗距離が異常に長いため、マイレージプログラムポイントを一気に稼ぐことができます。シートのクラスにもよりますが、修行しなくても上級会員になることが可能です。

マイレージプログラムの獲得ポイントは、搭乗する便の搭乗距離マイル数から計算されます。搭乗するシートによって差があり、エコノミークラスでJALは×0.5・ANAは×1、ビジネスクラスで×1.25、ファーストクラスで×1.5です。そして日系航空会社の場合、国内線は×2、アジアオセアニアの国際線は×1.5、その他の国際線や同一アライアンスの他社便は×1です。さらに自社便だとボーナスポイントのようなものがついたりします。世界一周航空券なら、自社1便あたり一律+400ポイントと考えていいです。すなわち

搭乗マイル×クラス修正×地域修正+400(自社便のみ)

となります。JAL(ワンワールド)はエコノミークラス世界一周航空券ではかなり難しいですね。3万マイル飛んだとして、全て国際線×1の区間と仮定すると、3万×0.5で1.5万ポイント前後しかたまりません。これがビジネスクラスだと3万×1.25で3.75万ポイントです。ファーストだと4.5万ポイントまで跳ね上がります。ANAはエコノミークラスでも3万×1で3万ポイント前後貯まりますので、上級会員が十分見えてきます。

世界一周航空券で日系航空会社の上級会員を目指すなら、
ワンワールドならビジネスクラス以上を
スターアライアンスならエコノミークラスでも可能

JALの場合、JALカード(JALのクレジットカード)に加入するだけで5000ポイント獲得できます。また、ワンワールドで大陸制の世界一周航空券を使えば、マイル制限がないため距離をどんどん稼げます。ですから、ビジネスクラス以上でJALの上級会員を目指すのが一番簡単です。

※搭乗距離(マイル)や獲得ポイントを調べるには、JALやANAの公式サイトが便利です。また、アライアンスに所属する他の航空会社の搭乗距離を調べるのは難しいですが、ワンワールドやスターアライアンスの公式サイトでわかることもあります(獲得ポイントを調べるのは相当難しいので、電卓片手に頑張ってください)。

ここで注意が一つ。JALもANAも自社便だけで2.5万ポイント獲得が必要です。ですから、日本出国時と帰国時のフライトを最もポイントが獲得できるように設定するほうが望ましいです。可能なら、国内線も加えたほうがいいです。たとえばJALの羽田発ビジネスクラスでは、ニューヨーク便で8804ポイント、ロンドン便で8168ポイント、シドニー便で9518ポイントです。これらのうち2つを加えて2万ポイント前後獲得するのが上級会員への近道です。

日系航空会社の上級会員を目指すなら
日本発着便の距離を最大限長くする

もし、世界一周航空券を分割利用する場合、旅程の途中で日本に近い都市(香港やロザンゼルスなど)まで戻ってくることが多いはずです(海外発で別切りの日本行き航空券の費用を安くし、搭乗時間を短くするため)。すると、そもそも最初の日本出国便や最後の日本帰国便が、アジア内の便やハワイ便などになりがちで、日系航空会社便の獲得ポイントが少なくなってしまいます。したがって、上級会員をあきらめるか、別で国内線に乗って貯めるか、外資系のマイレージプログラムで頑張るかを選択することになります。

世界一周航空券を分割利用すると、
日系航空会社の上級会員を目指すハードルが上がる

外資系だと、ネットワークや日本からの距離を考慮すると、ワンワールドならキャセイパシフィックかアメリカン航空、スターアライアンスならアシアナ航空やシンガポール航空やユナイテッド航空でしょうか。いずれにせよ上級会員になるまでは可能でしょうが、資格を維持するのが難しいです。

いずれにせよ、マイレージプログラムの登録をしてから出発するのが大事です。マイルも貯まりますから、一石二鳥ですね。

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