【国内鉄道旅】2024年 越美北線 越前花堂駅を起点としたJRの孤立路線

はじめに

今回はローカル鉄道の旅記録です。2024年の福井県JR越美北線の乗車記録です。敦賀まで延伸した北陸新幹線乗車記のつづきです。

JR越美北線は、JR西日本のどの路線とも連結しない孤立路線で、越前花堂駅~九頭竜湖駅の約50kmの区間です。

越美北線の全ての列車が、ハピラインふくい線の福井駅まで乗り入れているので、北陸新幹線を経由して越美北線内に向かう場合、見かけ上JR線のみの乗車券は発券可能です。車両も運行も全てJRのようで、越前花堂駅で運転手の交代はありません。

北陸新幹線の開通に伴い、JR西日本には孤立路線が複数発生しています。2024年3月までは高山本線(猪谷駅ー富山駅間)、大糸線(南小谷駅ー糸魚川駅間)、氷見線(高岡駅ー氷見駅間)、城端線(高岡駅ー城端駅間)、そして七尾線(津幡駅ー和倉温泉駅間)の5路線でした。2024年の敦賀延伸に伴い、この越美北線が追加になっています。

越美北線があれば、越美南線もあります。長良川鉄道越美南線です。当初は岐阜~福井を直通させる越美線として計画されていましたが、計画はとん挫し、越美南線は国鉄からJR移管前に第3セクターに引き継がれました。

2024年の北陸新幹線敦賀延伸もあって福井へやってきたのですが、せっかくですから越美北線を走破してみました。

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新しくなった福井駅

スタートはハピラインふくい線の福井駅です。JR越美北線の起点駅は越前花堂駅ですが、全列車が福井駅まで乗り入れているので、福井駅から出発になります。

JR福井駅は、正式には北陸新幹線の改札内のみです。在来線側はハピラインふくいの管轄です。

福井駅にはえちぜん鉄道も乗り入れています。駅舎は福井駅の東側にあります。

2階新幹線ホームの東側にえちぜん鉄道のホームがあります。北陸新幹線開業前の一時期、新幹線高架路線を使用してえちぜん鉄道が運行されていた時期もあります。

福井駅の西側には福井鉄道の「福井駅停留場」があります。いわゆる路面電車で、旧北陸本線の武生駅(現ハピラインふくい所属)まで伸びています(たけふ新停留場)。

このように、福井駅は4社の路線が乗り入れているターミナル駅です。

これから乗車するのは、JR西日本の越美北線(九頭竜線)です。ハピラインふくいの改札に向かいます。

越美北線の券売機はハピラインふくいと共用になっています。越美北線は交通系ICカードが利用できないので(ハピラインふくい管内は利用可能です)、キップを購入する必要があります。

福井駅在来線管轄がハピラインふくいに移管されたことに伴い、稼働している券売機は2台しかありません。切符購入のための列ができていました。これでもましになった方で、2024年3月のハピラインふくい開業時は1台しかなく大行列になったそうです。

乗車券を購入しました。ハピラインふくいの170円とJRの990円を合算してお支払いです。

改札内に入ります。新幹線との乗り換え改札がありますが、自動改札を利用可能なケースは少ないんじゃないですかね。交通系ICカードの利用ルールはややこしいので、新幹線乗換にはお勧めしません。

JR越美北線(九頭竜線)は2番乗り場から発着します。切り欠きホームになっているので、1・3番ホームを南に歩く必要があります。エスカレータは北側なので、ちょっと遠回りが必要です。エレベータを使ってもいいかもしれません。

3番線にはハピラインふくいの車両が停まっていました。回送車になるようです。

駅名標はハピラインふくいのものになっています。

切り欠きホームになっている2番乗り場に向かいます。ブルーの車両が停まっています。

キハ120形の気動車1両編成になります。越美北線は電化していません。

越美北線の列車はラッピング塗装です。これから乗る列車は、令和4年から運行している笏谷ブルー<キハ120-202>です。笏谷(しゃくだに)とは福井市内の地名で、石垣などに使われる笏谷石が有名だそうです。

列車内の席は全て埋まっていました。このあとさらに10人以上乗車し、車内はかなりの混雑です。九頭竜湖まで約50km、1時間30分くらいの旅程になるので、車内にはトイレもあります。

これだけ乗車していて、運行本数も絞られているのに営業係数(100円稼ぐのに必要な経費)は「1,892円」だそうです。そもそも単線路線なので、増発も難しいのでしょうね。越前東郷駅のように、列車の行き違い設備を無くしたりして、さらに増発が難しくしています。企業努力で黒字化は無理筋でしょうね。

写真は進行方向とは逆方向です

福井駅を出発しました。九頭竜湖方面に向かいます。

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越美北線を九頭竜湖へ

車内から福井駅方面を撮影

旧北陸本線(ハピラインふくい線)を南下し、北陸新幹線の高架下をくぐって越前花堂駅に来ました。北陸本線とはお別れし、越美北線に入ります。

越前花堂駅には、越美北線の専用ホームがあります。新幹線高架の向こう側に旧北陸本線があります。越美北線のホームは、珍しいことにホーム番号がありません。旧北陸本線のホームにはホーム番号があります。

駅名標はJRのものが用いられています。ここから、JR線内に入ります。

六条駅付近から福井方面を臨む

ローカル線は線路が曲がりくねっているイメージがありますが(実際、木次線などはかなり湾曲した行程ですが)、越美北線は比較的直線が多いです。

越前東郷駅から福井方面を臨む

越前東郷駅は、元々1面2線だったようですが、1線のふくい側に車止めが設置され、行き違いができなくなっています。かなり散り始めていますが、線路脇には桜が舞っています。

一乗谷駅です。戦国大名朝倉家の拠点があった一乗谷のふもとに設置された駅です。朝倉家の三つ盛木瓜の家紋が駅の柵に飾られています。

駅の東側には福井県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館があります。観光の方と思われる数人が降りられていました。

駅から南側の山の中に進んでいくと一乗谷朝倉氏遺跡があります。といっても、徒歩ではかなり距離があるので、福井市街から車で行くのが無難なようです。

福井駅から1時間くらいで、越前大野駅に到着です。1面2線のホームがあります(別に留置線もあります)。

越前大野駅は越美北線で最も大きな駅で、立派な駅舎もあります。ここから東側は列車の交換ができる駅が無いので、九頭竜湖方面には1編成しか入っていくことができません。

越前大野駅では、ほとんどの列車が2番ホームを使いますが、1番ホームにキハ120形のラッピング塗装列車が停まっていました。戦国列車<キハ120-204>と呼ぶそうです。

こちらの列車は週末のみ運行している臨時列車のようです。

越前大野駅で折り返しになる列車もありますが、乗ってきた列車は九頭竜湖まで進みます。

勝原駅の線路脇には、ハナモモの花などが咲き誇っていました。人の姿もちらほらみかけましたが、お花見にきているのでしょうか。

この駅から東側はトンネルが多くなります。線路は九頭竜川に沿って上流に向かうのですが、トンネルでショートカットします。

福井駅から約1時間30分、ようやく終着駅の九頭竜湖駅が見えてきました。

越美北線は盲腸線(終着駅から乗り換え可能な路線が無い)です。九頭竜湖駅は車止めで行き止まりになっています。

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九頭竜湖駅から周辺を散策

九頭竜湖駅に到着しました。

木造の立派な駅舎があります。15人くらいの乗客が降車しました。

駅舎内は恐竜推しですね。福井県は恐竜の発掘で有名です。

正規の駅員は不在ですが、簡易委託のスタッフがいらっしゃいます。券売機が無いので、スタッフの方からキップを購入します。

帰路は越前大野駅まで乗車予定です。

駅舎から外に出ます。駅舎から出てすぐ右にファミリーマートとバス停があります。

国鉄時代の越美線構想は未完成で終わったため、越美北線の終着駅である九頭竜湖駅から、越美南線(現長良川鉄道)の北濃駅の間は公共交通機関がありません。2004年までバスが運行していたようですが、廃線になっています。

その後、九頭竜湖駅停留所<大野市営バス前坂線>→家族旅行村<徒歩8km>→下在所停留所(岐阜県郡上市)<白鳥交通石徹白(いとしろ)線>→北濃駅停留所という経路が残っていましたが、2024年3月末に前坂線は廃線となっています。

2024年4月以降の前坂線は和泉乗合バスとしてデマンド利用できるようですが、観光客の利用に制限がありそうです。また、石徹白線の昼行便はデマンドバスになっています。

九頭竜湖駅前に待機タクシーはありませんでした。九頭竜湖駅からタクシーで岐阜県内の駅を目指すなら、北濃駅より美濃白鳥駅のほうが近くなります。

2024年3月に和泉線、中竜線、前坂線の3線が一気に廃線となり、春現在、定期運行されているバスは大野市街へ向かう路線だけです。

九頭竜湖駅の先に留置線がありますが、その先の線路は繋がっていません(そもそも九頭竜湖駅に列車が留置されることが無い)。

九頭竜湖駅の裏手に歴史の里という公園があり、蒸気機関車が置かれています(時間が無かったので足を運んでいませんが、列車の車内から蒸気機関車が見えます)。

駅の隣には道の駅九頭竜があります。軽食やお土産が購入できます。

九頭竜湖駅から九頭竜川に沿って上流に向かうと、桜の花見で有名な九頭竜湖(ダム)があります。2kmくらい歩く必要があるので、鉄道で来る場所ではありませんね。

九頭竜湖駅の列車は2~3時間に1本しかありません。乗り遅れると悲惨なことになります。14時21分の定刻に到着し、14時32分発の列車に乗る必要があります。ほんのちょっとだけ散策して駅に引き返しました。

ということで、乗ってきた列車に乗車します。行先表示が福井に変わっています。

私と同じように折り返し乗車する方もいらっしゃいました。福井方面に出発します。

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越前大野駅から散策

九頭竜湖駅から30分ほどで越前大野駅にやってきました。

大野市は大野城が有名です。駅舎内には観光案内がいろいろ置かれていました。

当初の予定では、ここからタクシーで勝山に向かおうと思っていました。勝山駅からえちぜん鉄道に乗る予定だったんです。勝山駅まで行くバスもあるのですが、ちょうどいい時間のバスが無さそうです。

ところが、駅前に待機タクシーはありません。タクシー店舗があるのですが閉まっています。電車を降りてしまったので、次の便まで2時間以上あります。これは・・・詰んだかな(リアル路線バスの旅状態です)。

バス停の路線図を見てみると、勝山方面だけでなく、福井方面にもあるようです。それでも30分くらい時間があるので、大野城方面へ散策することにしました。

5分くらい歩くと、城下町の風情がある通りに出ます。

右前方の山の上にお城が見えますね。大野城になります。年に数日は雲海に浮かぶ城として有名です。天守まで行くには時間が無いので、この辺をうろうろしていました。

バス路線に沿って街並みを散策していきます。

珍しい形のバス停ですね。大野銀座からバスに乗車します。

バスがやってきました。京福バスになります。

福井駅に向かいます。あまり乗客もいらっしゃいませんし、乗降する方も少ないです。バス停は多いのに、どんどん進んでいきます。福井駅までの所要時間は、鉄道とあまり変わりません。

福井駅前のひとつ手前の停留所で降りました。乗ってきたバスが見えています。

とりあえず予約していたホテル「コートヤード・バイ・マリオット福井」にチェックインして、夕食とお土産を買うために福井駅に出かけました。

福井駅でお買い物とお食事

福井駅の1階は「くるふ福井駅」という商業エリアになっています。レストランやお土産ショップなどがならんでいます。

関西圏在住者にお得情報です。全店舗でWESTARポイント(JR西日本で使えるポイント)を貯めることができます。ぜひともWESTARアプリをインストールしておきましょう。

ホテルのお食事ばかりだとお財布につらいので、こちらで夕食です。「おそばだうどんだ越前」さんを利用しました。

越前おろしそばと小鉢ソースカツ丼1,380円です。どちらも福井名物で、外せないところです。

「おみやげ処福井」でおみやげを購入しました。羽二重餅&北陸新幹線の合わせ技の福井銘菓になります。

そのあと、宿泊するホテルの1階にあるモール「MINIE(FUKUMACHI BLOCK)」の「越前魚問屋 蟹ヱ門」でホタルイカを購入しました。春はホタルイカの旬ですからね。ホテルのお部屋でおいしくいただきました。

宿泊したホテルはこちら↓

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まとめ

2024年の福井ローカル線「越美北線(九頭竜線)」を旅してきました。

ローカル路線は本数が少ないので、途中下車の旅はなかなか難しいです。全線走破して終着駅周辺を散策するのが限界ですね。盲腸線の場合は同じ路線を戻ってくる必要があることもネックになります。想定外のことが発生すると、身動きが取れなくなることもあります。

下車して観光しようと思っても、バスが無いのはまだしも、タクシーまで無いとなるとどうにもなりません。列車の運行も少ないので、なかなかスケジュールを組むのも難しいです。やはり車の便利さが際立つので、地方の鉄道が衰退するのは仕方ないのかもしれません(車だと、旅先でお酒が飲めないんですよねえ・・・)。

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