【国内鉄道旅】2024年 鹿島鉄道廃線跡のBRT 関東鉄道バス「かしてつBRT空港線」に乗車 駅が無いのに「駅」の名がつく停留所がたくさんあるバス路線

はじめに

今回の旅はBRT乗車記録です。2024年の関東鉄道バスの運行するBRT路線「かしてつBRT空港線」に乗車しました。

BRTとはバス・ラピッド・トランジットの略です。広義では、大量輸送バス路線や一般道のバス専用レーン利用路線もBRTに入ります。一般車が乗り入れできないバス専用道路を走るBRTに絞ると、2024年現在の日本には6路線しかありません。

鉄道より安価に運営できる方法として、近年注目を浴びています。東北震災でJR線からBRT転換した気仙沼線・大船渡線BRTが有名ですね。

バス専用道路を新規で敷設することは、現在日本の平野部密集地では不可能に近く、6路線のうち5路線は廃線跡からの転換です。愛知都市部に建設された「ゆとりーとライン」は、高架を利用したガイドウェイバスになっていて、BRTとしてもかなり特殊です。

今回乗車したのは、鹿島鉄道線の廃線跡で運営されているかしてつBRTです。テレビ「ローカル路線バスの旅陣取り合戦第4弾」にもちょこっと出てきた路線です。

もともとの鹿島鉄道線は茨城県内のローカル線で、JR常磐線の石岡駅と鉾田市の鉾田駅を結んでいました(鹿島臨海鉄道の新鉾田駅とは別駅)。2007年に廃線となり、2010年にBRT運行が開始されています。石岡駅ー茨城空港を結ぶ空港線と、石岡駅ー新鉾田駅を結ぶ鉾田本線が主な路線として設定されています。

BRTとなっているのは石岡駅ー四箇村駅間で、四箇村駅より東側は一般道などに転換されています。BRT専用道を走るのは石岡駅ー四箇村駅間の約5kmだけで、四箇村駅より東側は一般道を走行します。鉄道時代は鉾田駅までだった路線ですが、BRT転換後は鉾田本線は新鉾田まで延伸しています。

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かしてつBRT空港線で茨城空港からJR石岡駅へ

今回のスタートは茨城空港です。茨城空港はスカイマークの国内線が多数就航していますし、国際線も台北便が運航中です。

空港のターミナルビル正面にバスの停留所があります。水戸市街に向かう路線も発着しています。

関東鉄道グリーンバスの新鉾田駅行きや小美玉市コミュニティバス「おみたん号」もあったのですが、2024年4月に休止してしまいました。新鉾田駅行きはテレビ「ローカル路線バスの旅陣取り合戦第13弾」でも登場した路線で、本数も比較的多かったのですが残念ですね。

紛うことなきバスです。BRTとはいえ、内装はバスそのものです。

茨城空港から出て最初に停車するのは「空のえき そ・ら・ら」です。道の駅のような立ち位置なのかな。空港からだと15分くらい歩くので、荷物を持って歩くのは現実的ではないかもしれません。バスだと1区間ですが、バスは1時間に1本未満なので時刻表を事前に確認しておきましょう。

バスは空港からまっすぐ伸びる「茨城空港アクセス道路」を進みます。広い道なので快走します。そのまま真っすぐ進めば一気にJR石岡駅に近づくのですが、かしてつBRT空港線は小美玉市の生活路線の役割も果たしています(むしろ日常利用者の方が圧倒的に多い)。途中で左折して南下し、小川駅方面を目指します。

小川駅です。新鉾田方面に向かうなら、ここで乗り換えになります。駅と名がつきますが、線路どころか駅舎もありません。鹿島鉄道の旧小川駅跡です。

停留所付近はロータリーになっていて(旧小川駅前ロータリー)、線路跡(写真矢印の道路)の手前にバスの停留所があります。停留所の名前が「小川駅」です。バス路線は旧鹿島鉄道線の代替路線という位置づけなので、駅名のままの停留所が多数あります。

線路跡は一般道路になっています。ここから旧線路跡に入るわけではありません。まずは国道355号線に戻ります。

国道355号線を西にしばらく進むと、左側に「バス専用道」の看板が見えます。ここからBRTの本領発揮です。専用道を走行します。

専用道の入口は遮断機が下りています。鉄道路線は線路走行を優先して一般道に遮断機が下ります。BRT路線は一般車が専用道に誤進入を防ぐ目的で遮断機が設置されています。バス車内からリモートで遮断機をオ-プンできるそうです。

四箇村駅停留所から西側の停留所はバス専用道に面して設置されています。ここから先の停留所は〇〇駅と駅名が連なりますが、列車はやってきません。新たな停留所がいくつか追加されています。

バス停留所にはコンパクトな待合室が設置されています。

停留所前には自転車置き場があるなど、駅ホームの雰囲気を残した停留所ですね。旧鹿島鉄道線は国道355号線に沿って敷設されていて、車通りが多くにぎやかな国道355号線周囲の方々がBRTを利用します。

バス専用道なので、一般車通行禁止の交通標識が掲示されています。

一般道との間に信号などが無い交差点が多数あり、バスは一般車の通行を妨げないように交差点を通過します(踏切は設置されていません)。そのため交差点で停車することが多く、電車のような速達性は確保できません。それでも、渋滞の影響を受けないのは利点です。

使用しないホームの跡なども残されています。

石岡駅ー四箇村駅間は石岡ー新鉾田路線も走行するため、運行数が多くなっています。もともと単線路線なので、対向車の行き違いはできません。専用道の一部に行き違い用に広くなっている区画があり、そちらを利用して対向します。そのため、一方が遅延すると対向バスも遅延します(西進するバスは専用道外から来るので遅延する可能性があります)。

JR石岡駅から見た専用道です。石岡駅に向かうバスはこの細道を奥からやってきます。ここでBRT専用道は終点です。

旧鹿島鉄道線はこんな感じでJR石岡駅まで続いています。最後の200mくらいはJR線と並走します。

JR線に沿って、駅側に道が続きます(写真赤線)。バスターミナルに入る道です。

石岡駅東口側にあるバスターミナルです。西口側にあった停留所がこちらに移設されています。BRT専用ではなく、石岡駅から各地に向かうバスが発着します。

石岡駅のバスおりばに到着しました。石岡駅と新鉾田駅は列車に乗り換えることができます。

石岡駅前のバス乗り場です。茨城空港や新鉾田に向かう路線が出発します。

JR石岡駅は石岡市の中心駅です。特急ときわが全列車停車します(特急ひたちは全列車通過します)。

JR石岡駅に入線する特急ひたちブルーオーシャン編成(E657系)です。2023年から茨城デスティネーションキャンペーンに伴って様々な色で塗装されたひたちが運用されています。こちらの列車で品川駅まで乗り換えなしで向かうことができます。2015年に東京上野ラインが開通し、東海道新幹線のアクセスもずいぶん楽になりました。

まとめ

2024年の関東鉄道バスの運行するBRT路線「かしてつBRT空港線」の乗車記録です。バス専用道を走るBRTに乗車しました。

BRTは経営難の鉄道業者に代わって地方交通を維持する手段として脚光を浴びていますが、バス運転手も不足する時代になっていて、こちらも先行き不透明です。

国道の渋滞を回避できるのは大きなアドバンテージですが、一般道との交差点に踏切か優先信号を設置できれば、速度を落とさず走行できてベストですね(数か所信号ありましたが)。意外に交差点が多いので、所要時間がかかる印象です。

なかなか興味深い交通手段なので、何とか長続きしていただきたいところですね。

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