はじめに
今回はローカル鉄道の旅記録です。2024年の千葉県JR久留里線の乗車記録です。
JR久留里線は、JR東日本管内にある鉄道路線です。JR内房線の木更津駅から上総亀山駅までの約30kmの区間です。
上総亀山駅から先はどの鉄道路線にもつながっていない盲腸線となっています(もともとは国道465号線に沿っていすみ鉄道上総中野駅までつなげる予定だったらしい)。
木更津~久留里駅間は1時間1便程度運行していますが、久留里~上総亀山駅間は1日8.5往復です(上総亀山駅の始発は前日最終便の滞泊車両で、次発は久留里駅から営業運転されずに回送されるようです)。
2024年11月、JR東日本は久留里線久留里~上総亀山駅間の廃線を決定しました。JR発足時1日800人程度あった利用者数が、2022年には1日50人程度まで減少しています。営業係数13,580円(100円収入を得るのに必要な費用)と経営圧迫の原因になっているということです。
1日8.5往復設定されているので、JR芸備線の東城~備後落合駅間(1日3便)や廃線前のJR札沼線新十津川~北海道医療大学駅間(1日1便)に比べるとずいぶん条件がいいように見えます。ただ、日中9時~14時まで、約5時間の運行空白時間帯があり、なかなか使い勝手が難しい時刻表になっています。
毎年、秋の紅葉シーズンに増便が設定されます(JR東日本「駅からハイキング」キャンペーン)。2024年も11月~12月1日の間、1日5往復が追加されていました(木更津駅8:20、9:16、11:11、14:00、15:00発が運行区間延長)。2022年のキャンペーンでは、12:06発も上総亀山まで延長していたようです。もともと14往復されていた路線なので、JR発足当時と同じくらい便数ですね。
盲腸線のつらいところは、先へ進む乗換客がいないので乗客が少ないことと、終着駅の折り返し便に乗らないと移動手段が無くなって詰んでしまうところです。便数が少ないので、最悪5時間くらい待ちぼうけになってしまいます。
久留里線の廃線時期は決定されておらず、2026年3月の時刻改正時が有力視されています。廃線間近の久留里線に乗ってみました。
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久留里駅の周辺を散策
久留里線の起点駅は木更津駅ですが、今回は廃線予定の久留里~上総亀山駅の区間に乗車したいと思います。久留里駅から乗車します。
久留里は君津市にあります。君津駅は木更津駅の隣駅なので、久留里は君津市の中心から比較的距離があります。君津町が市町村合併を繰り返し、久留里一帯も君津市所属となっています。久留里城の城下町です。
久留里線は木更津市、袖ヶ浦市、君津市の順で走ります。久留里は君津市の中心部からは丘陵で隔てられていて、JR君津駅からだと木更津駅を経由する必要があります。市町村合併によって生み出されたとはいえ、ややいびつにも見える配置です。
JR千葉駅から高速バス・カピーナ号で約1時間です。JRだと90~100分かかるので、バスの方が便利かもしれません。
JR久留里駅はこじんまりとした駅舎です。
みどりの窓口はありませんが、駅員さんが常駐しています。列車がが来た際には、3人の駅員さんをお見かけしました。
構内は2面2線となっています。2番線の向こう側に1線あったようですが、線路は途切れ、利用できないようになっています。
1番線ホームから上総亀山側を見ています。1番線に切り欠きホームがあったようですが、利用できなくなっています。さらに車庫のような設備があります。
久留里駅前にはロータリーがあります。
観光案内所もあります。
名水も湧き出しています。車で来て水をもらって帰っている方もいらっしゃいました。
久留里の観光名所「久留里城」は駅から約2km徒歩30分くらいでしょうか。私の訪問時は改修中だったようです。
久留里周辺は路線バスが無いようす。タクシーもみかけませんでした。観光には車が必要ですね。
オンデマンドバスはあるようで、久留里~上総亀山地域で利用可能です。ただ、Webでみる限り、予約が取れないことも多いようです。
久留里から上総亀山に向かうには、電車しかありません。高速バスが運行していますが(カピーナ号、アクシー号)、アクシー号の上りは乗車のみ、下りは降車のみしか利用できません。カピーナ号も久留里で乗車して上総亀山周辺で降りることができません。電車の本数も少ないので、観光して巡ることが難しいです。
久留里駅から上総亀山駅へ
キップを購入して列車を待ちます。
木更津方面から列車がやってきました。JR東日本のキハE130系100番台気動車です。
3両編成ロングシートの通勤列車仕様ですが、れっきとした気動車であって電車ではありません。トイレはありません。
車内は座席の半分以上が埋まるくらいの乗客がいらっしゃいました。7割くらいは鉄道好きの方々のようでしたが、普段利用されている方もいらっしゃいました。
少し遅れて反対側のホームに2両編成の上り列車がやってきました。久留里駅ですれ違うようです。
上総亀山駅に向かって出発します。
久留里線で上総亀山駅へ
久留里線は全線非電化単線です。運用されている列車は気動車になります。
列車は山間部の田園地帯や丘陵部を走ります。
上総松丘駅駅舎
平山駅と上総松丘駅に停車します。
列車が速度を落とし、終着駅の上総亀山駅が近づいてきました。
久留里駅から約18分で上総亀山駅に到着です。
上総亀山駅は1面1線のホームになっています。写真手前に見える線路は途切れていて運用されていません。
さらに奥にも線路がありますが、こちらも運用されていません。
上総亀山駅の南側の線路は車止めで途切れています。
駅舎はこじんまりとしています。無人駅です。廃線に伴い、この駅も廃駅になる予定です。
乗車駅証明書発行機が設置されています。
こんな感じで印字されます。
上総亀山駅周辺を散策
駅前の様子です。路線バスもなく、住宅地の中といった感じですね。
私と一緒の列車で上総亀山駅に来た方々は(20人以上いらっしゃいました)、周辺を散策・撮影した後、同じ列車の折り返しに乗っていってしまいました。朝8:33に到着し、降り返しは48分発です。15分後には駅周辺から人影は無くなりました。
次の列車は14時27分までありません。6時間の待ち時間は、ハイキングする方ならいいでしょうが、私のような乗り鉄にはつらいところです。
上総亀山駅から移動する交通手段として、
・オンディマンドバス「きみぴょん号」 久留里周辺
・高速バス「カピーナ号」 千葉駅方面/鴨川方面
・高速バス「アクシー号」 袖ヶ浦・東京駅方面(下りは乗車できません)
などがあります。高速バスは乗降できる停留所に制限があるので、長距離移動しかできません。カピーナ号鴨川行きは10:28、千葉行きは9:53、アクシー号木更津方面は9:11、10:11があります。私はアクシー号を利用することにしました。
アクシー号の停留所は駅から2kmくらい離れているので、散策しながら移動することにしました。
駅を出て右方向、線路の終端の方へ進みます。
5分ほど住宅街を進むと、交差点に出ました。国道465号線が左右に走っています。右に曲るとカピーナ号の停留所「亀山・藤林大橋」ですが、このまままっすぐ進みます。
しばらく歩くと交差点があります。左が川俣大橋です。
朱色の橋の向こう側に亀山ダムが見えます。
亀山ダムは紅葉が有名だそうです。
橋を渡らずに、反対側(西方向)に進みます。
道なりに進むとまた橋があり、左手に亀山ダムが一望できます。
この辺りは亀山温泉の宿泊施設が点在しています。日帰り入浴したかったのですが、11時まで利用できないようで、さすがに時間をつぶすのは難しく諦めました。
アクシー号で木更津方面へ
さらに歩くと、バス停が見えてきます。高速バス「カピーナ号(千葉駅方面/鴨川方面)」の笹停留所です。アクシー号の停留所はまだ先です。
T字路に突き当たるので、右に曲ると停留所があります。アクシー号袖ヶ浦・東京方面の停留所です(鴨川方面のバスは乗車できません)。
アクシー号の笹停留所です。アクシー号は東京駅まで行くことができます。私は羽田空港に向かいたいので、袖ヶ浦バスターミナルで乗り換え予定です。
9:11のバスが2分遅れでやってきました。観光バスタイプです。運賃は乗車時に前払いで、どこまで乗車するか尋ねられます。袖が浦バスターミナルまでの停留所で降車することはできません。
袖ヶ浦バスターミナルには10分くらい遅れで到着しました。袖ヶ浦バスターミナルと木更津金田バスターミナルは東京アクアラインを走る高速バスが停車し、各地への乗継に便利です。バスターミナルにタクシー乗り場はあるのですが、あまりタクシーを見かけることはありません。バスターミナルから市街地に向かうならタクシーの予約や配車アプリなどを利用する方がよさそうです(一応路線バスもありますが、本数は多くないようです)。
地元の方は駐車場や駐輪場を利用したり家人に送迎してもらったりしているようです。バスターミナルにはトイレもあります。
大阪に戻るために羽田空港行き高速バスに乗り換えです。
この日の羽田空港では相変わらず20~30分の遅延が多発していました。2023年以降の羽田空港は本当に遅延が多いですね。空港運用時間の締め切りの都合上、伊丹便や福岡便は優先されるようで遅延が少ないです。その分、那覇や千歳、関西便などの遅延が常態化しています。2025年の羽田便は30分程度の遅延が規定値だと思っておきましょう(さらに遅れることも当然あります)。
まとめ
2024年の千葉県JR久留里線の久留里ー上総亀山間を旅してきました。
ローカル路線は本数が少ないので、途中下車の旅はなかなか難しいです。特に久留里線は日中に5時間程度の空白があり、終着駅で孤立してしまう危険性があるので交通手段の下調べが重要です。1日8.5往復も設定があるのに利用しづらいダイヤグラムですね。
観光しようと思っても、路線バスもタクシーも無く、高速バスは乗り降り自由ではないなど、小回りの利く交通手段がありません。観光には車が必要になってくるのですが、車で訪問するなら鉄道を利用する必要性が乏しくなってしまいます。ローカル線の厳しい現状でしょう。