【世界一周解説編29】ANAの新しいステイタス獲得条件は条件改悪? 居住地によってはハードルが高いです

世界一周航空券に関していろいろ解説しているこちらのブログ。2021年12月にはオミクロン株も発生し、コロナ禍が世界中で蔓延している状況では世界一周航空券を利用するなんて夢のまた夢です。

2021年12月に、ANAが特殊なステイタス獲得条件「ライフソリューションサービス」を発表しました。以前の、「プレミアムメンバーステイタス2021獲得チャレンジ」をほぼ引き継ぐ形で、キャンペーンではなく正式サービスとしています。

従来の上級会員資格取得より、少しはハードルが下がっているように見えますが、思わぬ落とし穴があります。国内線だけで獲得する場合、いろいろ難しさも増しています。

また、2022年にコロナ禍が終息したら、世界一周航空券を利用すると上級会員取得に有利なのでしょうか(昨年も同じようなことを言ってましたが・・・)。

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1.ライフソリューションサービスによるステイタス獲得条件

世界一周航空券利用の有無にかかわらず、航空会社の上級会員になるには、飛行機にのってマイレージポイント(会社によって呼び方は違いますが)を獲得する必要があります。ANAならプレミアムポイント(PP)と呼びます。

5万ポイント取得すれば、半永久的に上級会員になれるステイタスを獲得できます。ANAならプラチナ会員というステイタスですね。

プラチナ会員になると、Super Flyers Card(SFC)会員になれる権利が発生します。会員になるには、専用のクレジットカード(ANAカードの一部)を発行する必要があります(審査もあります)。いったんSFC会員になると、クレジットカードを維持するだけで(年会費を払い続けるだけで)、プラチナ相当の会員サービスを受けることができます。

このマイレージポイント5万ポイントというのは、搭乗距離や獲得マイルと少し違います。ただ、PPは、搭乗距離から算出されるため、基本的には長距離路線に乗った方が獲得ポイントは多くなります。路線やチケットの種類によって獲得ポイントに修正が加えられます。

PPは1年間(1月~12月の間)で貯める必要があります。また、5万ポイントのうち、半分にあたる2.5万ポイントは、ANAグループ便搭乗で獲得する必要があります。

今回、2021年12月に発表されたのは、ライフソリューションサービスやクレジットカード決済額の達成度合いに応じて、ステイタス獲得に必要となるPPを緩和するサービスです。2021年に同様のキャンペーンが実施されていましたが、恒常的なサービスに格上げです。

プレミアムメンバーステイタス2021獲得チャレンジからの変更点

①ライフソリューションサービスやANAカード決済金額の条件を一部変更
②ANAグループ運航便の定義の変更
③プレミアムメンバー事前サービスは除外(資格は1年間だけ)

ステイタス 通常条件 条件1(必要PP) 条件2 条件3
ダイヤモンド+モア 設定なし 15万PP 7サービス 600万円決済
ダイヤモンド 10万PP 8万PP 47サービス 400万円決済
5万PP 7サービス 600500万円決済
プラチナ 5万PP 3万PP 7サービス 600400万円決済
ブロンズ 3万PP 1.5万PP 4サービス 400300万円決済

以前の「プレミアムメンバーステイタス2021獲得チャレンジ」から少し変更があったので、赤字で修正しています。やはり決済金額のハードルが高かったのでしょうね。少しは楽になったと思います。

通常条件ではなく、新しいステイタス獲得条件でステイタスを目指す場合、条件1~3を全て達成する必要があります。条件3はANAカードで1年間(2021年12月16日~2022年12月15日)に必要な決済です。ええ、普通に生活していると無理ですね。そもそも、年収2,000万円を超える高額所得者向けのキャンペーンだということがわかります(年収2,000万円でも税金で半分は飛んじゃうのでぎりぎりでしょう)。

サービスとは、ANAのふるさと納税、ANAの保険、ANAの住まい、ANA STORE @SKY(あるいは国際線機内販売)、空港内店舗(空港売店あるいは空港免税店)、ANAショッピング A-style、ANAトラベラーズ、ANAマイレージモールANAカードマイルプラス、ANAマイレージクラブモバイルプラス、マイルが貯まるその他加盟店、ANAでんき、以上12サービスのうち必要サービス数を利用する必要があります。太字で書いた7サービスが、なんとか達成可能です。

ダイアモンド+モアは、飛行機に乗っているだけでは達成できない資格です。

ダイアモンド+モアの特典(ANA公式HPより引用)ダイアモンド会員特典に加えて、
1 マイルからANA SKY コインへ特別交換倍率2.0倍のボーナスコインをプレゼント
2 ANAカードファミリーマイルに登録のご家族へ「ダイヤモンドサービス」ステイタスをプレゼント

SFCを目指すなら、プラチナ資格で十分ですが、この際ダイヤモンドを狙ってみるのもいいかもしれません。いずれにしても、条件2は比較的容易です。ハードルが下がった条件1と、かなり難しい条件3をなんとかしなくてはなりません。

近年、カード決済などの、飛行機とは関係なく航空会社会員資格付与の案件が増えています。コロナ禍で飛行機に乗れないこと、航空産業がECOやSDGsといったブームと齟齬があることが背景にあるのでしょう。有名なところではアメリカン航空のカード決済による付与や、デルタ航空のクレジットカード所持による付与などがあります。ANAの場合は、通常条件とカード決済のハイブリッドと言えます。

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2.今回のサービスでのプレミアムポイントの獲得方法

基本的にプレミアムポイント(PP)は飛行機に乗らないと獲得できません。PP獲得のキャンペーンはほとんどありません。上級会員ステータス獲得者に、2ヵ月程度の間、5-10%程度のPPをボーナスで付与するキャンペーンが毎年実施されていますが、PP獲得が楽になるというほどではありません。

ここで1つ注意点があります。通常条件だと、ダイヤモンドだと10万PPのうちANAグループ便が5万PPでOKです。プラチナだと5万PPのうち2.5万PPがANAグループ便、ブロンズだと3万PPのうち1.5万PPがANAグループ便です。

2021年のキャンペーンでは全てANAグループ運航便でPPを獲得する必要があると記載されていましたが、国内線コードシェア便もおそらく問題なかったと思います。

ーANAプレミアムサービスのwebページより引用ー
ANA便名のコードシェア便
IBEXエアラインズ、AIRDO、ソラシドエア、スターフライヤー、オリエンタルエアブリッジおよびPeachが運航する日本国内のコードシェア便は、ANA便名にてご予約・ご搭乗の場合のみ、ANAグループ運航便として積算されます。

今回のサービスでは、ANAグループ運航便の範囲がさらに限定され、ANA・ANAウイングス・エアージャパン運航便と明記されています。ですから、PP獲得条件が軽減されていると簡単に考えるのは間違いです。

すなわち、ANA便名の国内線コードシェア便(IBEXエアラインズ、AIRDO、ソラシドエア、ピーチ、スターフライヤー、オリエンタルエアブリッジが運航する日本国内のコードシェア便)は除外されていると考えられます。

これはかなり痛いですね。関西空港や神戸空港など、国内線が共同運航便中心の空港が多数あります。純粋なANAグループ運航便は意外と少ないですから。

※どうやら、スターフライヤーなどの国内線コードシェア便のANA便名予約でもOKみたいです。

国内線も国際線も、ANAグループ運航便でないとだめです。スターアライアンス運航の共同運航便だと、ANA便名であったとしてもだめなのです。世界一周航空券で予約する飛行機を選ぶ際、運航便名でしか購入できないことが多いです。また、アライアンスに加盟していない航空会社が運航する便に設定されたスターアライアンス加盟航空会社名の共同運航便はPP獲得に利用することができません。

まとめますと、純粋なANAグループ運航便はコロナ禍による運休も多いので、利用可能な便自体が少なく、国内線だけでPPを獲得することはなかなかできないかもしれません。

世界一周航空券でも考えてみましょう。世界一周航空券を予約する場合、基本的には運航航空会社の便名でしかフライトを予約できません。そして、ANAは日本発着便しが設定されていないので、世界一周航空券だとどこかでスターアライアンス運航便を利用する必要があります。今回のキャンペーンを利用するなら、無駄なフライトが発生します。

結局、世界一周航空券を利用して今回のキャンペーンで上級会員になるのは難しいと言えます。世界一周航空券を利用するなら通常条件で達成する方がいいですし、今回のキャンペーンを利用したいなら通常のチケットの方がいいです。

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3.上級会員を目指す方法をシミュレーションしてみた

せっかくですので、今回のキャンペーンを利用して上級会員を目指す方法をシミュレーションしてみましょう。

1.プラチナ会員を簡単に目指してみる

とりあえずプラチナ会員を目指してみましょう。条件2は比較的容易ですから、条件1の3万PPと条件3の400万円決済を達成すればよいわけです。

日本とアメリカやヨーロッパをビジネスクラス(Cクラス)で2往復すれば、2.9-3.2万PPになります。料金は130-150万円くらいですから、あと250万円なにかに使えば達成可能です。とにかくお金にものを言わせれば、さっさと達成できます。

通常条件だと、ニューヨークあるいはオーストラリアならビジネスクラス3往復で達成可能です(ヨーロッパや他のアメリカでは不足してしまいます)。いずれにせよお金はかかるのですが、キャンペーンの方が旅行せずに済みます(ちょっと本末転倒ですが)。

2022年はPPのキャンペーンが出るかどうかわかりませんが、3万PPぐらいだと国内線でも余分に飛行機に搭乗すればなんとかなるかも。

以前のキャンペーンと比較して決済金額が200万円も減額されたのは追い風だと思います。集注してカード決済すれば、一般サラリーマンでもなんとか現実的な額です。

2.ダイヤモンド会員を目指してみる

条件1の8万PPと条件3の400万円を目指してみましょうか。

日本とアメリカやヨーロッパをビジネスクラス(Cクラス)で5往復すれば、8万PPくらいになります。料金は350万円くらいですから、あと50万円なにかに使えば達成可能です。うーん、もはや貴族の遊びですね。

条件1の5万PPと条件3の500万円を目指す場合、通常条件(5万PP)を達成してプラチナ会員になったが500万円決済すればいいわけです(すべてANAグループ便を利用)。この場合、500万円を決済するのがハードルになります。それでも以前に比べればハードルが下がっているんですけどね。

3.ファーストクラス世界一周で試算

ファーストクラス世界一周で試算してみましょう(コロナが落ち着かないと無理ですが)。29,000マイル以内の飛行距離だと諸費用込みで120万円くらい。

羽田→ニューヨークで10,484PP。羽田→ロンドン9,721PPで合計2万PPくらい(1.3万マイルくらい)。あと1.5万マイルをどこかのフライトにつぎ込んだとして、概算2.3万PPくらいだから、合計4.3万PPで頭打ちですね。

5万PPまでは楽勝でいけそうなので、プラチナ会員を目指すなら通常条件の方がいいです(通常条件ならプレミアムメンバー事前サービスも受けられます)。

ダイヤモンド会員を目指すなら、ANAカードで500万円を決済しないといけません。飛行機で120万使っているから、あと380万円です。やはり難しいかなあ。

4.クレジットカードで高額決済は難しい

どうしても400~500万円を決済することがハードルになってしまいます。月々40万円くらいでしょうか。普通に生活していて、業務用を除いて、月に40万円をカード決済で使うのは難しいです。そもそもそんなに蓄えも収入もないし。

高額製品といえば、自家用車や家などでしょうか。カード決済は基本的に断られます。業者がカード会社に支払う決済手数料がばかにならないからです。

商品券や換金性の高い貴金属、電化製品は、カード会社から目をつけられることがあります。お勧めできません。

税金をカードで納付する方法もありますが、会社員は所得税などが源泉徴収されてしまうので利用が難しいです。個人で納付することもできなくはないですが、かなり面倒です。興味ある方は調べてみてください。

ふるさと納税をカードで決済するのもいいと思います。2021年12月16-31日に2021年分を、翌年になってから2022年分を支払えば、2年分の支払いが計上できます。年収が比較的高い方にお勧めです(2021年分を支払い済みだと無理なんですよね)。ANAふるさと納税を利用すれば一石二鳥です。

こうなると、個人事業主あるいは自己決済可能な出張族以外は達成が難しいですね。支払いを1つのカードに集中させるのも限度があります。私なんか、dカードや楽天カードなど、いろいろなカードをお得度に応じて使い分けてますから(せこい?)、決済を集中させると多少の損失が発生してしまいます。

ちなみにですが、私も2021年は「ワンチャンなんとか無理かな」とひそかに試みてみました。ですが、2021年12月現在で200万に到達しません。かなりまとめてみたんですけどね。もともと給料少ないから無理できないし。2022年にさらに頑張ってみても、300万ぐらいがせいぜいでしょう。やはり激ムズ案件でした。

ANAのライフソリューションサービスによるステイタス獲得条件は、プレミアムポイントだけでなく、ANAカード決済の金額的ハードルも高いです。

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まとめ

ANAのライフソリューションサービスによるステイタス獲得条件を利用して上級会員を目指す場合、世界一周航空券を利用することは難しそうです。また、プレミアムポイントを獲得するより、ANAカード決済を達成するほうが困難ですし、家計が破綻してしまいそうです。

今回発表のサービスは、ANAカード決済必要額の減額がメリット、ANAグループ運航便が純粋なANAグループだけに制限されたこととプレミアムメンバー事前サービス除外はデメリットです。関西空港周辺居住者の場合スターフライヤー便が除外され、神戸空港だとエアドゥやソラシドエアが除外されます。そもそも国内線の40%くらいはコードシェア便です。地方都市組もそうですが、さっさと諦めたほうがいいかも。ANA運航便はコロナ禍で運休が多いしね。

あと、キャンペーンに参加する場合は、条件の書かれた部分をスクショしておきましょう。内容を後で訂正されたり、ページを消されて無かったことにされることもありますからね(いや、ほんとに)。

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