はじめに
世界一周旅行記事の連載途中ですが、旬の記事を挟んでみたいと思います。今回は大阪メトロ中央線の新駅(終着駅)、夢洲駅を訪問しました。
大阪メトロ中央線は、東大阪市の長田駅~大阪市のコスモスクエア駅間を結ぶ路線でしたが、2025年1月19日にコスモスクエアの先に夢洲駅を開業しました。大阪・関西万博へのアクセス経路としての延伸です。中央線は夢洲駅から乗り継げる路線がない盲腸線になりました。
EXPO2025公式HP<https://www.expo2025.or.jp/expo-map-index/access/>より引用
万博へのメインルートは御堂筋線の本町駅から中央線を経由する経路になりそうです。JR大阪環状線の弁天町経由のルートもありそうですが、本町駅で車内がいっぱいになって乗車できない可能性が高そうです。本町駅コンコースはあまり広くないので、2025年1月現在、コンコース内の動線を改修中です。
EXPO90(花の万博)ではアクセス鉄道(現在の大阪メトロ鶴見緑地線の京橋ー鶴見緑地間)がほぼEXPO専用のピストン輸送状態だったので(それでも車内は超満員)なんとかなりました。2025年の万博では一般地下鉄路線を利用するので大丈夫なのか、ちょっと心配です(主催者側は客が来ないと見てるのかな)。
中央線は近鉄けいはんな線と相互乗入しているため、夢洲駅から学研奈良登美ヶ丘駅(奈良県)まで乗り換えなしで行くことができます。
延伸に伴い、中央線の大阪西側はほぼすべての列車が夢洲発着となっています。
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本町駅から中央線で夢洲駅へ
万博の乗り継ぎ駅になる本町駅からスタートします。本町駅近辺は金融機関を中心としたオフィス街なので、観光客が立ち寄ることは少ないかもしれませんね。
本町駅周辺はマリオット系ホテルが密集している(W、セントレジス、コートヤード、フォーポイント・フレックス、モクシー)マリオット銀座なので、マリオットホテルファンにはおなじみかもしれません。
御堂筋線からの乗り換えだと、できるだけ御堂筋線の南側(なんば・天王寺側)の車両に乗るのがいいかもしれません。
さて、舞洲行きに乗りましょう。
列車は30000A系でした。万博用に2022年から運用開始した車両です。万博終了後は谷町線に配属される予定とのこと。
中央線は九条駅~大阪港駅間は地上区間になります。大阪港駅を過ぎると地下に入ってしまうので、車窓を楽しめるのはこの間だけです。
本町駅から約20分で夢洲駅に到着です。JR大阪駅からだと30分くらい、JR新大阪駅からだと40分以上かかるでしょう。万博期間は人も多くなりそうなので、かなり時間をみておく必要がありそうです。
万博の入り口 夢洲駅
夢洲駅は終着駅です。
1面2線の島式ホームで、駅の向こう側は車止めになっています。一応、桜島方面への延伸計画は残っているようですが、実現するかどうか未知数ですね。
コスモスクエア方向を見てみると、2番線からみて右側奥に側線があります。ただ、一編成を収納できるほどの長さは無いようで、保線用に特化しているようです。ピストン輸送で車両を退避させたいときに利用できるわけではなさそうです。
改札はコスモスクエア方向(南改札)しかないので、階段もコスモスクエア方向に昇るようになっています。
改札階に昇る階段(エスカレータ)は3か所です。
エレベータもありますが1基だけです。ベビーカーや荷物を持った方が多く来られると、おそらく対応しきれないでしょうね。
改札階に出て、改札方向(南方向)に向かいます。コンコースはかなり幅広で多くの人数が行き交うことができそうです。
改札外側(南側)から改札内方向を見ています。改札機は多くの台数を設置していますね。
改札は磁気切符、ICカード、クレジットカードタッチ決済、QRデジタル乗車券に対応しています(すべての改札機がすべての決済方法に対応しているわけではないので注意しましょう)。QRコードの乗車券は2024年夏から大阪メトロで導入されています(沖縄ゆいレールで使われている切符みたいなものです)。
改札から出た場所に小型のローソンや自販機があります。レストランなどはありません。
出口は一か所です。
地上に出るエレベータは2基あります。ホーム→改札よりましですがやはり万博のアクセス経路としては弱い印象です。大阪メトロ側(所有者は大阪港トランスポートシステムのようですが)としては余剰な設備なのでコスト面で割に合わないという判断でしょうか。
さて、地上に出ましょう。
夢洲駅周囲の様子
夢洲駅の外観です。地下鉄駅の外観としては、地上部分の駅舎が巨大で目立ちます。
駅を出て目の前が万博の入場口になりそうです。訪問時は入ることができませんでした。
駅舎の周囲は柵で囲まれています。
万博のメインモニュメントの円形の建物も、ずいぶん形になってきています。
さらに近づいてみるとこんな感じ。
駅周囲は柵で囲まれているので、外に出ることはできません。道路にすら出れませんね。工事関係者以外はUターンです。
駅舎の階段出口の反対側は、エレベータ出口になっています。
さて、帰る手段が地下鉄しかないので、駅構内に戻りましょう。
近鉄7000系の車両がやってきました。生駒方面から中央線に乗り入れています。
車内はこんな感じです。こちらの列車で帰路につくことになりました。
中央線延伸部分の鉄道事業者はとても不可思議
鉄道の所有者、運営者は法律でかなり厳格に定められています。たとえば、能登半島の「のと鉄道七尾線(穴水~七尾間)」で見てみましょう。
●穴水ー和倉温泉間
・のと鉄道 第二種鉄道事業者(路線を借りて自社の列車を走らせる)
・JR西日本 第三種鉄道事業者(自社の路線を他社に貸している)
●和倉温泉ー七尾間
・のと鉄道 第二種鉄道事業者(路線を借りて自社の列車を走らせる)
・JR西日本 第一種鉄道事業者(自社路線に自社車両を走らせる)
同じ七尾線内でも、きっちり区切って鉄道事業者を区分しています。
土地・線路・駅舎 | 車両所有・運行 | ||
第一種鉄道事業者 | 自社→貸付も可 | 自社 | 第二種に線路貸付もできる |
第二種鉄道事業者 | 他社からレンタル | 自社 | 第一、三種から線路を借りる |
第三種鉄道事業者 | 自社→貸付 | 所有しない | 第二種に線路貸付が必要 |
ただ、第一種鉄道事業者と第三種鉄道事業者の区分はあいまいなところも多いようで、第一種鉄道事業者なのに自社運行していない路線もあります。
自社運行しない第一種鉄道事業者
●JR東海交通事業 城北線
・JR東海 第一種鉄道事業者なのに運行なし
・JR東海交通事業(JR東海子会社) 第二種鉄道事業者として運行
●嵯峨野観光鉄道 嵯峨野観光線
・JR西日本 第一種鉄道事業者なのに運行なし
・嵯峨野観光鉄道(JR西日本子会社) 第二種鉄道事業者として運行
●JR貨物の一部 <例>浜松町駅~東京貨物ターミナル駅~浜川崎駅
・JR東日本 第一種鉄道事業者なのに運行なし
・JR貨物 第二種鉄道事業者として運行(浜松町駅~東京貨物ターミナル駅は休止中)
JR貨物の場合、民営化時の約束もあっての現状ですからわかりますが、他の2社はよくわかりませんね。これがありなら、鉄道事業者を分類する意味もなさそうな気がします。
そして大阪メトロ中央線ですが、大阪港トランスポートシステム(OTS)と大阪メトロが複雑に絡み合っています。といっても、大阪メトロは大阪市の100%子会社で、OTSも大阪市の資本が70%くらい入っています。
●夢洲ーコスモスクエア間
・大阪メトロ 第二種鉄道事業者
・OTS 第一種鉄道事業者
●コスモスクエアー大阪港間
・大阪メトロ 第二種鉄道事業者
・OTS 第三鉄道事業者
●大阪港ー長田間
・大阪メトロ 軌道経営者(所有も運行も大阪メトロ)
※地下鉄部分は道路に敷設する軌道に準じる扱いになっているようです
とまあ、中央線はいろいろな例外をこれでもかと詰め込んだ、カオスな状況になっています。地下鉄を軌道(いわゆる路面電車やモノレールなどの交通機関)扱いにするのも無茶ぶり感がありますね。
鉄道事業者は鉄道事業法などの関連法規で規定されますが、第一種鉄道事業者が鉄道運行しない場合の規定あるいは罰則規定はないようです(私は法律が専門じゃないので間違っていたらすみません)。
第一種鉄道事業者は申請時に運行計画も申請が必要ですし(鉄道事業法第4条)、運行しない場合は休止届が必要です(鉄道事業法第28条)。休止届は原則1年以内しか有効ではありません。休止届は廃止届と違って公示されないのでどうなっているのかわかりません。
コスモスクエア~夢洲だけをOTS第一種にしているのもよくわかりませんね。桜島方面へ延伸計画もあるようなので、延伸すればOTS自社運行にする予定なのでしょうか。
そもそも、延伸部分の工事はほとんどが大阪市が請け負っています(総事業費の7割くらいが大阪市負担)。OTSのみが第一種(あるいは第三種)とするのも違和感があります。
参考:https://subway.osakametro.co.jp/news/news/fare/202409_chuo_line_enshin_kasanunchin.php
いろいろ書きましたが、様々な要因が絡み合った結果、コスモスクエア~夢洲間に通常運賃に加えて、加算料金90円が設定されています。梅田→コスモスクエアは290円なのに、夢洲まで430円の設定です。強烈なのはコスモスクエア→夢洲間(3.2㎞)で330円もします。関西空港ーりんくうタウン間も370円しますが、駅間距離が6.9㎞ありますからまだわかります。330円は高いよ、大阪メトロさん。
まとめ
2025年1月に開通した大阪メトロ中央線の新駅「夢洲駅」の紹介でした。2025年2月には中央線がワンマン運行に移行するらしいです。
今回はちょっと辛口になってしまいましたが、万博アクセス路線としてきちんと機能することを期待しましょう。