はじめに
今回のお題は2026年のANAシステム変更とトラブルについてです。
2026年にANAが大きく変更した運用は下記の3つです。
・SFC(スターフライヤーカード)会員にラウンジサービスを附帯しないランク(SFC LITE)を設定
・予約システムにアマデウス(スペイン)を採用し、座席指定できない「シンプル」運賃を導入
・機内持ち込みの身の回り品にサイズを設定(40 × 30 × 20cm以内)。
2026年4月の機内持込制限の厳格化は国内航空会社共通なので、ここでは省きます。上記3つのうち、SFCと予約システムの件に関して、2026年6月のANA株主総会で方針が修正されることになりました。特にSFCについては「再検討」とのことで、ちょっと歯切れが悪い言い方です。
さて、ここからは私個人の意見です。みなさんも、さまざまな意見があると思います。
ANAだけでなく、サービス業でサービスレベルを低下させるなら、それだけのデメリットを認識したうえで(きちんと市場調査したうえで)実施しているはずです(上場企業ならあたりまえでしょう)。非難があるのも事前に織り込み済みのはずです。迷走するANAを考察してみましょう。
SFCに関する迷走
当初の方針では、2028年以降、SFCにはSFC PLUSとSFC LITEの2種類が新設される予定でした。
発表された新制度によると、SFC会員のうちANAカード年間決済300万円未満(SFC LITE)の方はスターアライアンスシルバー相当のステータスに格下げになりANAラウンジが使えなくなります。一方で、年間決済300万円以上(SFC PLUS)の方は現状維持です。
年々新規SFC会員が増え続け、ライフソリューションサービスの導入もあり、ANAラウンジ利用客が飽和してきたため、混雑解消を目的としていたと言われています。それもあるでしょうが、ANAカード利用を推進したい思惑もあるのでしょう。
この決定により、既存のSFC会員にとっては改悪と受け取られ、ANAはLCC化したと言われていました。
SFC PLUS
・ANAカードで年間300万円決済必要(ミリオンマイラーは自動的にPLUSに)
・スターアライアンスゴールドステータス付与(従来のSFC相当)
・5,000マイル付与
SFC LITE
・ANAカードで年間300万円未満の決済の場合
・スターアライアンスシルバーステータス付与(従来のANAブロンズ会員相当)
・ANA運航便搭乗時はANAラウンジ以外のプラチナ会員相当サービス可
(優先搭乗や手荷物受取優先などは維持される)
※SFC家族会員はSFC本会員のステータスに準じる
※ANA Pay決済や家族カード決済も本会員の決済に含まれる
SFC LITEでは、従来と比較してANAラウンジが利用できなくなることと、ANA以外のスターアライアンス運航便でシルバーステータスのサービスになってしまうことが大きな変更です。SFCという資格は維持されますが、カード年間決済額に応じたサービスになるということです。
SFC LITEなることによるデメリットは大きく2つ、ラウンジが利用できなくなることとスターアライアンス・ゴールド資格を失うことです。世間ではラウンジ利用できなくなることに関して批判が集まっています。
ANAラウンジ(国内線)はスターアライアンス系のラウンジの中で突出してサービスレベルが低いので(ほとんどフード類が無い、アルコールも限定的)、私としてはラウンジサービスが無くなることはどうでもいいかなと(国内線ならカードラウンジで代用可能だし)。それよりスターアライアンス他社のサービス(ラウンジを含む)が受けられなくなる方が痛いと思います(こちらもプライオリティ・パスでかなりカバーできますが)。
私も平SFC会員で、おそらくSFC LITEになるでしょう。サービスが低下しますが、まあしゃあないなと。そもそも関西在住なので、2026年に関西空港からANA便が大量撤退したこともあり「今後はJALメインで」と思っていました。いろいろ対策もとれますし、決まったことは受け入れる方針でしたしね。ANA側も私のように考える者を一定数想定していたはずです。
それが2026年6月の株主総会で「再検討する」との方針を明らかにしました。正直、「なんじゃそりゃ?」と思いましたね。そもそも、ラウンジ混雑問題はどうするんだと。
現状のラウンジ混雑に対して何もしていないと株主受け悪いから、とりあえずSFC LITEを発表し、大反対が出て撤回することまで織り込み済みだったのかもしれません(勘繰り過ぎかな)。これでSFCを維持することが世間および株主サイドに了解を得られたとする免罪符的なセレモニーでしょうかね。迷走ではなく撤回することこそが最初から考えていた着地点だとしたら、むしろANAはすごいと思います。
それにしても再検討とは歯切れが悪いです。さすがに「再検討したけどやっぱ元の方針のままね」じゃあ炎上商法にしかならないので、SFC PLUSの撤回かハードルを下げる方向になると思います。それにしても年間300万円決済は厳しいですね。個人的には100万円決済くらいまで下げてくれれば受け入れ可能ですけど。どこまで修正が入るのかが見ものです。
企業運営の観点からすると、「クレームを入れまくればANAは撤回する」という前例を作ってしまった印象です。SFC会員ばかりが顧客じゃないでしょう。方針をころころ変えると顧客側も安心できない(対策を取りづらく信用できない)し、外から見ると見苦しいです。
新予約システムに関する迷走
2026年5月に導入されたのがANAのアマデウスによる新予約システムです。世界的にアマデウス利用が標準化しているのと、国内線と国際線のシステムを統合する必要があったのは間違いありません。今回のシステム変更自体は必要不可欠な処置だったと思います。
問題は2点です。新システムのトラブルと、シンプル運賃の導入に関する説明不備でしょう。
システム入れ替え時にトラブルが起こるのはある程度仕方ありません。システム処理が重くなるのも(時間がかかるのも)ある程度仕方ないかと。ただし、事前の説明と違うのはどうなんでしょうね。
私は関西在住なので、大阪ー羽田間のフライトを利用することが多いです。伊丹空港は運航時間の制限があるので、大阪行きは関西空港便を使うこともあり、スターフライヤー運航の共同運航便を使うことも多いです。
ANAのWebサイトによると
提携航空会社運航便とのコードシェア便のチェックインについて
提携航空会社運航便とのコードシェア便は、便を運航する会社のウェブサイトでのオンラインチェックインへと変更になります。
メールなどでご案内する「チェックインのご案内」に記載のURLから手続きをお願いします。
ANAウェブサイト/ANAアプリでのオンラインチェックインはご利用できません。
~ANAのWebサイトより~
実際のところ、スターフライヤーのWebサイトでチェックインできません。スターフライヤーサイトでは「ANAからの予約はANAサイトでチェックインを」とエラー表記されます。
めったにないケースでエラーが出るのならともかく、わりとあるケースでエラーがあちこちで表出し、一事が万事といった状態です。さすがに看過できないかな。ちゃんと運用前にチェックしたのかなと疑いたくなります。
「シンプル」運賃の説明不足もそうです。安い料金にはデメリットがあるのは理解できます。海外航空会社も最安運賃に座席指定が含まれないのは一般的です。ただ、最安料金で予約した際に有料座席指定できるのも極めて一般的です。有料座席指定できない航空会社はANAくらいじゃないでしょうか(私は有料で座席指定できると思い込んで失敗しました)。予約時点で「有料の座席指定もできない」ことを明文化すべきでしたね。今後、有料座席指定できるように修正するそうです。
オーバーブッキング問題も、シンプル運賃にはそういうリスクがあることを最初から明文化すればトラブルにならなかったと思います。搭乗拒否順位を「会社の定める搭乗優先順位に基づき」というあいまいな表現をするからトラブルになったと思うんです。
さらに炎上させているのが「ご予約いただいた時点で座席は確保されます」の表現ですね。シンプル運賃の予約であっても、ちゃんと「座席は確保されている」という表現で説明されています。「座席の確保」は、一般「常識」としては座れる座席は必ずあると考えますが、航空会社側の「認識」では「予約されている」ということらしいです(やじり鳥さんのブログで詳しく説明されています)。一般社会通念と専門家の認識がずれることはままありますが、専門家が一般の方に説明する場合は、認識の齟齬が生じないように説明をすべきであり、今回のケースは不十分な説明と言われても仕方ないかもしれません。
まとめ
ちょっと辛口の記事になってしまいました。私の意見をまとめると、今回のANAに関するトラブルは、「右往左往してみっともなく見苦しい」印象です。
SFCに関してはどんなに非難をうけようとも(そして顧客が多少流出しようとも)、ANA側がその方針が正しいと思って設定したなら、初志貫徹で押し通すべきだったんじゃないかなあ。SFC LITEを実際に運用して失敗したなら、方針撤回するのもありだと思うんですけど、まだ運用前ですからねえ。私は改悪の影響を受ける側ですが、大企業らしく腰を据えた対応が見たかったです。
新予約システムの運用前の検証不足は否めませんが、ある程度仕方ないかと。問題はオーバーブッキングと「シンプル」運賃の運用ミスと説明不足です。特に、有料座席指定の設定をしていなかったのは(あるいは有料座席指定ができないことを明文化していなかったのは)、ANAらしくない印象です。あえて誤認させる方針にしていた可能性もありますが、故意だとすると日本の航空会社ではありえない不誠実ですから、さすがにないでしょう。とにかく、細部まで明文化しておいてほしいものです。
もう一つ気になることがあります。今回のシステム変更で、プレミアムクラスの表記はファーストクラスになりました。ファーストクラスなのに、ANA SUITE LOUNGEは利用できません。以前からANAを利用している方にとっては違和感はないのですが、海外の方が見るとどうでしょう。ファーストクラスの名称を用いておきながら上位ラウンジが使えないのは違和感があるでしょうね。
今回のANAトラブル、良くも悪くも株主総会での修正路線で幕引きになればいいと思います。だけど、ANAラウンジ混雑やオーバーブッキング時の順位など、解決していない問題は山積しているんですよね・・・。
コメント
お久しぶりです。
私も新たな SFC PLUS には届かない層ですが、 ANA の迷走に対しては同感で、ノイジーマイノリティ(だと思ってます)の声とか気にせず、決めたことを貫いてほしかったです。
字面で見ると SFC or ANA Pay で300万円以上の利用という敷居値は安易に決めたように受け取る人がいるのかもしれませんが、これだけの制度変更を担当者の思いつきで決めているはずはなく、権限を持つ上位職位者の承認をもって発表されているはずです。
私も記事の中でそこに少し触れて書きました。
tabizuki さんと似たようなこと書いてます。
https://yap.seesaa.blog/article/520382262.html
YAPさん
こちらこそご無沙汰しております。またの訪問ありがとうございます。
6月までの段階ですでにANA/SFCカードを手放した方もいらっしゃるとお聞きしますので、後出し改定は良くないですね。
まだもう一波乱ありそうな気もします(JAL・JGCのように入り口を絞るとか)。
それより、ラウンジ料金よりはるかに高いサーチャージを何とかしてもらわないと、海外旅行に行けません。
2026年春の中東情勢勃発以降は海外旅行自粛中です。
またの訪問をお待ちしております。