【世界一周解説編37】ついに改悪 JCBとMUFGが発行するプライオリティ・パスが飲食店舗やリフレッシュ施設で使えなくなる!

2024年9月2日、プライオリティ・パスの改悪情報が舞い込んできました。JCBとMUFGの発行するクレジットカードに附帯するプライオリティ・パスでは、飲食店舗やリフレッシュ施設が利用できなくなります。

プライオリティ・パスのシステム

プライオリティ・パスを持っていると、飛行機の搭乗券がある場合に限り、空港にある提携ラウンジを使用できます。そのパスは無条件に手に入るものではありません。正式に発行する場合は、年会費が発生します。

年間優待回数 年会費 本人利用料金 同伴者料金
プレステージ会員 制限なく無料 469USドル 無料 35USドル
スタンダードプラス会員 10回まで無料 329USドル 35USドル 35USドル
スタンダード会員 なし 99USドル 35USドル 35USドル

提携ラウンジはプライオリティ・パス社が運営しているわけではありません。ラウンジによってはプライオリティ・パスがなくても有料で入場できる場合があります。

以前は利用料が27USドルだったので、スタンダード会員でもややお得でした。2018年に32USドル、2023年に35USドルされたので、プライオリティ・パスを利用しないで通常料金にした方がお得な場合が多くなっています。

プライオリティ・パスで入室できるラウンジは、ほとんどがビジネスクラス用航空会社ラウンジと同等と考えられます。ファーストクラスラウンジ並みの上品さやサービスは期待できませんが、フードサービスやアルコールを含むドリンクサービス、シャワーサービス、WiFiサービスなどが期待できます(サービス内容はラウンジによります)。

世界中の数多くのラウンジが加盟しており、一部の航空会社ラウンジも参加しています。本来航空会社ラウンジはその会社の顧客を囲い込むためにサービスを提供しているのですが、自社の客だけでなく広く客を迎え入れることで収益アップを図っていると思われます。これは会社としては収益が上がりますが、本来のビジネスクラスあるいは航空会社上級会員の客からすると、混雑やサービス低下により顧客満足度低下をもたらす可能性があります。

プライオリティ・パスが利用できるラウンジは世界で1,500カ所以上とされています。かならずしも国際線に乗る場合だけしか使えないわけではありません。国内線でも利用可能なラウンジがあります。

2024年9月現在、日本の国内でもプライオリティ・パスで利用可能なラウンジは以下の通りです。リンク先は実際に訪問した体験記になっています。

成田空港
第1ターミナル
保安検査前
一般エリア
IASS Executive Lounge1(※3)
肉料理 やきすき やんま(※1)
国際線
出国後エリア
I.A.S.S SUPERIOR LOUNGE 希和 -NOA-
Japanese Grill & Craft Beer TATSU(※1)
成田空港
第2ターミナル
保安検査前
一般エリア
IASS Executive Lounge2(※3)
ターミナル前 ナインアワーズ(※2)
国際線
出国後エリア
I.A.S.S SUPERIOR LOUNGE 虚空 -KoCoo-
鉄板焼 道頓堀 くり田(※1)
成田空港
第3ターミナル
保安検査前
一般エリア
ぼてぢゅう屋台(※1)
羽田空港
第1ターミナル
保安検査前
一般エリア
足湯カフェ&ボディケアLUCK(※2)
Power Lounge Central(※3)
国内線
保安検査後
Power Lounge South(※3)
Power Lounge North(※3)
羽田空港
第2ターミナル
保安検査前
一般エリア
Power Lounge Central(※3)
国内線
保安検査後
Airport Lounge South(※3)
Power Lounge North(※3)
羽田空港
第3ターミナル
国際線
出国後エリア
TIATラウンジ
SKY LOUNGE SOUTH<リンク先は改修前>
羽田エアポートガーデン All Day Dining Grande Aile(※1)
中部国際空港
第1ターミナル
保安検査前
一般エリア
くつろぎ処 SOLA SPA 風の湯(※2)
ぼてぢゅう(※1)
国際線
出国後エリア
UMIZEN SORAZEN(※1)
KALラウンジ
Centraiar Global Lounge
Plaza Premium Lounge
中部国際空港 FLIGHT OF DREAMS THE PIKE BREWING RESTAURANT & CRAFT BEER BAR(※1)
大阪伊丹空港 保安検査前
一般エリア
大阪エアポートワイナリー(※1)
関西国際空港
第1ターミナル


国内線
保安検査後
ぼてぢゅう1946・Japan Traveling Restaurant by BOTEJYU(※1)
国際線
出国後エリア
カードラウンジ六甲(※3)、アネックス六甲(※3)、カードラウンジ金剛(※3)
ANAラウンジ
関西国際空港 エアロプラザ KIXエアポート カフェラウンジ NODOKA
福岡空港国際線
ターミナル
国際線
出国後エリア
KALラウンジ
ラウンジ福岡
鹿児島空港 保安検査前
一般エリア
ボディケアLUCK(※2)

※1:レストラン店舗 ※2:その他サービス店舗 ※3:カードラウンジ相当

レストラン店舗では3,400円分相当のセットメニューや会計割引が実施されます。サービス店舗はシャワーや入浴など、飲食以外のサービス店舗です。

成田空港のIASS Executive Loungeなどは、本来カードラウンジです。日本国内発行の多くのゴールドカード提示でも利用できます。プライオリティ・パスの対象となることで、訪日客も利用可能になっています。

カードラウンジをプライオリティ・パスで利用する場合、契約状況によってはかなり高くつくことがあります(スタンダード会員など都度払いが必要なケースなど)。

一般エリアの場合、原則的に到着便でも利用可能です。関西空港のぼてぢゅう1946は、国内線到着便でも利用可能です。

クレジットカード附帯プライオリティ・パスの相次ぐ改悪

2016年ごろから、プライオリティ・パスが提携するレストランが増え、飲食店舗やサービス店舗で利用可能になってきました。上記対象店舗の赤字※1、※2が相当します。

プラチナカードなどのクレジットカード附帯のプライオリティ・パスは利用回数無制限のものが多く、サービス利用件数が増えてきています。それがクレジットカード発行会社の負担になっていたようで、2019年8月以降、アメリカン・エクスプレス(プロパー)発行のプライオリティ・パスはラウンジ以外のサービス店舗(飲食店舗やサービス店舗)で利用できなくなっていました。
※厳密のいえば、利用できるけど有料になります。

2024年9月2日、他社が追随しました。まずはJCBの発表です。

JCB
JCBカードのザ・クラス会員、プラチナ会員、ゴールド ザ・プレミア会員の付帯サービスである、プライオリティ・パスについて、2024年10月31日(木)よりプライオリティ・パス旅行特典のご利用に関する改定を実施いたします。
2024年10月31日(木)8:00PM以降 プライオリティ・パス社が提供する国内の「ラウンジ」施設および、日本国外のすべての提携施設が利用対象
2024年8月時点で国内の「お食事」「リフレッシュ」「休憩」等に該当する施設は利用対象となりません。
利用対象とならない施設は、プライオリティ・パス社ウェブサイトのラウンジ情報にて「お食事」「リフレッシュ」「休憩」のカテゴリに表示される施設を指します。詳細はhttps://www.prioritypass.com/ja/をご覧ください。
JCB公式サイト<https://www.jcb.co.jp/premium/pop/pp_oshirase.html>から引用

ちょっとわかりにくいので言い換えますと、JCB発行のプライオリティ・パスでは、2024年10月31日20:00時以降、国内の飲食店舗やサービス店舗でプライオリティ・パスが利用できなくなります(無料利用できなくなります)。

JCBでは海外の飲食店舗や国内の通常ラウンジは利用できるということですね。台北のillyカフェなど海外で使い倒しましょう(笑)。KIXエアポート カフェラウンジ NODOKAはラウンジかどうか微妙なところですが、利用可能なまま残りそうです。

それにしてもJCBは改悪が続いていますね。2023年4月1日よりJALカード、ANAカード以外のJCBカードに付与されていた海外・国内旅行傷害保険が自動付帯から利用付帯になっています。ディズニー関連以外で際立ったメリットが無くなっています。

次にMUFG(三菱UFJニコス)の発表です。

MUFG
三菱UFJニコスおよびフランチャイジー各社のプラチナ会員さまがお持ちのプライオリティ・パスは、2024年10月1日より、無料でのサービスのご提供を空港ラウンジのみといたします。飲食店舗やリフレッシュ施設等でご利用された場合、ご利用料金を負担いただく場合がございますので、あらかじめご留意ください。
MUFG公式サイト<https://www.cr.mufg.jp/amex/platinum/lounge_ab/index.html>から引用

MUFG発行のプライオリティ・パスでは、2024年10月1日以降飲食店舗やサービス店舗でプライオリティ・パスが利用できなくなります(無料利用できなくなります)。

MUFGは完全にアメリカン・エクスプレスに合わせてきましたね。MUFGはアメリカン・エクスプレスブランドのプラチナカードも発行していますし、年会費も比較的安価ですから。JAL・アメリカン・エクスプレス・プラチナのような提携カードも対象のようです。

MUFGはJCBより早い時期から制限が開始されます。MUFGは海外の飲食店舗もダメみたいです。

正直な印象として、遅かれ早かれこの対応になることは想定されていました。国内線フライトで毎日飛び回る方は、毎日レストラン利用できますもんね。伊丹空港のレストラン提携がとどめになった印象です。

MUFGプラチナ・アメリカン・エクスプレス・カードの場合、年会費2.2万円です。1回3,000円と概算しても、8回以上利用すれば元が取れます(カード会社は赤字)。利用する方は年30回とか100回とか利用しますからね。そりゃ、カード会社もやってられんでしょう。

プライオリティ・パスの利用回数制限が設けられたカードもあります。たとえば、楽天プレミアムカードでは2025年1月から年5回制限になっています。

無制限利用可能なプライオリティ・パスが付帯するクレジットカードはあるか

メジャー系のクレジットカードが矢継ぎ早に制限が付いたので、無制限サービスが残るカードは少なくなっています。

制限の無いプライオリティ・パスが付帯するクレジットカード(2024年)
三井住友VISAカードプラチナ
セゾンプラチナアメリカンエクスプレス
セディナプラチナカード

エポスプラチナカード
楽天ブラックカード(同伴2名無料)
ダイナースクラブプレミアムカード
ラグジュアリーカード

世の中には星の数ほどクレジットカードの種類があるので全てを網羅できませんが、メジャー系のカードの中で無制限利用可能なのは上記になります(ANA VISA プラチナ プレミアムカードのような提携カードは除いています)。

楽天ブラックカードは同伴者2名も無料になるので、この中で最強の印象ですね。自動付帯の高額海外旅行保険もあって旅行代も安くなるし。

意外に楽天プレミアムカードもありだと思います(年会費11,000円)。年間5回しか利用できませんが、店舗に制限はありません。飛行機を年数回しか使わない方だと、5回飲食店で利用できれば十分と考える方もいるでしょう。JCBなどのように「飲食店ダメ」ではないので、使い勝手がいいと思います。

今回の改訂の影響は

いろいろご意見もあると思いますし、ほとんどが「なんてことしてくれてんねん」といった嘆きになると思います。

プライオリティ・パスの現状は、間違いなくカード会社の重荷になっています。このままいくと、プライオリティ・パス提供の中止になりかねません。国内線で対象店舗が増えすぎたのが痛手ですね。

私は関西在住ですが、プライオリティ・パスによる食事サービス目当てで、あえて関西空港発着を選ぶことが多くなっていました。すこし前まで、アメリカン・エクスプレスが伊丹空港利用者にお食事券を配っていたのですが、それが無くなってからよけいに関西空港利用になっていました。

今回の改訂で、私のような利用者は伊丹空港回帰が進むと思います(だいたい伊丹の方が便利)。

関西空港国内線のぼてぢゅう1946前は、飛行機が到着すると列が伸びる(到着客が列に並ぶ)といった現象が風物詩となっていました。コロナ禍以降は国内線のインバウンド利用も増えて、列が長くなる傾向にありました。少し混雑が落ち着くのではないでしょうか。

クレジットカード利用の整理も始まるかもしれません。レストラン利用目的でプラチナカードを発行した方は、「使えないならもういいや」になる可能性もあります。一方で、JCBプラチナなどを持っていた方が、レストラン用に楽天プレミアムカードなどの「プラチナカード2枚持ち」を始めるかもしれません。

これを機会に「プライオリティ・パスと縁を切る」場合、MUFGプラチナカードのメリットはかなりの部分で失われます。安価な年会費と、家族会員にもプライオリティ・パスが発行できることがメリットでしたからね。

JAL・アメリカン・エクスプレス・プラチナカードも同様で、海外保険カバーの良いJAL・JCBプラチナカードに変更するのもありかもしれません(JCBなら海外の飲食店舗でプライオリティ・パスが使えるし)

ANA・JCBカード・プレミアムならANA・VISAプラチナ・プレミアムカードに変更するのもありでしょう。年会費は1万円上がってしまいますが、無制限プライオリティ・パスのメリットは大きいです。

さて、私はどうしようかと悩み中です。つい最近、楽天プレミアムカードを通常カードにダウングレードしたばかりです。いままでMUFG系カードでプライオリティ・パスを利用していました。

楽天プレミアムカード復活かな? 楽天証券の投資信託でかなり年会費を取り戻せるようになっていますからね。いろいろ悩ましいところです。

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